花見酒の経済

　母は自分の奢りで行う外食を月に一回と決めており、二月分の外食権は先の日曜日に早々に使って仕舞い、今月はもう外食が出来ない。しかし母のへそくりを使わず、父か私が奢ればまだ外食が出来る。

　祝日の今日、夕飯の話になった時にその抜け道を使って外食、則ち父か私の奢りでラーメンでも食べに行くかと云う話になったのだが、やり方によってはセーブ出来た出費が生じると云う点では家全体では損、畢竟、花見酒の経済だなあと決着し、大人しく米を研いだ。

　両親の説明によると、花見酒の経済と云うのは以下。

　二人連れで酒を携えて花見に行く。酒はその場の花見客に売りつけて儲ける目論見。しかし花見をしている内に片方が酒を飲みたくなり、共同出資者に、金を出すから商品である酒を一杯売ってくれと頼む。相方はそうして売った酒を飲んでいるのを見て、自分も飲みたくなる。と、手元に先ほど相方から貰った金を見つけ、この金で自分も一杯酒を飲みたいと頼む。そうして酒一杯分の金が双方の間を往復し、酒樽は空になる。さて本日の売り上げはと確認すれば、一杯分の酒代のみ。つまり儲かったのは最初に二人に酒を売った酒屋だけであると云う事で、実態のない経済活動に使われる話だとか。

　うちのラーメンの場合はこの例に当てはまらない気がするのだが、まあ結果的に外食代はセーブ出来たので良しとする。仮に私が奢ったとしたら、ヤフオクで pivi を落札するかどうするか100 円単位で悩んでいるのに一挙に落札出来るだけの金額がぽーんと飛んで行った訳だからなあ。