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ぬるま湯につかっているよーな毎日を綴った日記。
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 ドン引きされるのを覚悟で書きますが、人形に妙な執心と云うか興味があります。所謂球体関節人形です。人形らしく作られた人形ではなく、人間らしく作られた人形の、それも愛玩に特化したもの、と周辺を曖昧に回った書き方ではなくそのものズバリを書くと、ボークスのスーパードルフィーやオリエント工業のリアルラブドールに興味があります。後者は所謂ダッチワイフです。ほーら引いた。

 スーパードルフィーの何が気になるって、天野可淡の人形を意識したその耽美で気だるく少し虚ろにも見える視線です(最近アニメっぽいタイプも出ているけれど、それは好みではない)。こっちは人形らしく作られている人形なのだけれど、ドルフィーを好む人々は「人形を買う」と云う表現は使わず「家にお迎えする」と表現し、ドルフィーとお出かけするときは彼女(或いは彼)をヴァイオリンケースに入れ、素敵な雰囲気の森などで彼女らが最も映える写真を撮る。そういった対人間スタンスを人形に対して取り続け得る「何か」がドルフィーにはある。それが一体何なのか気になるのです。ごちゃごちゃ言っていますが、造形物として綺麗なので本物を見てみたいと云う気持ちがあることは前提として勿論追加いたします。

 そんでラブドールの方ですね。これはまあ所謂性欲処理目的で購入されることの多い人形ですが、オーナーさんのサイトなど巡ると、単なる道具としての扱いではなく、ラブドールを愛しみ美しく着飾らせ心惹かれる一葉の写真など撮っておられる訳です。人形ではなく恋人なのです。それは製造元のたゆまぬ商品開発の結果とも言えるのですが、ドルフィーと共通して言えるのは、オーナーが人形を人形として扱わず、一個の「人形と人間の間」のものと捉えていることにとても気持ちを惹かれるのです。

 そこで「空気人形」です。映画です。レビューを読んで「見てみたいなあ」と思っていた映画が CATV で放映されていたので録画してみたのが数か月前なのですが、何か心の中のもやもやが晴れず、これに関して一回まとめてみなくてはどうも収まらないと思っていたのがこの文章になります。なんて長い前置き。粗筋はと云うと、一人暮らしの冴えない男性が毎夜愛しているダッチワイフがある時心を持ち……と云う一種ありがちな筋書き。しかしこれがありがちに収まらないのは、

 心を持った彼女が愛するのは、毎夜自分を慈しむ「持ち主」ではない、と云うこと。

 これは恐ろしい筋だと思うんですよ。冒頭でつらつら書いてきた人形の持ち主は見返りを求めず己の人形に愛を注いでいると想像するのですが、意思を持った人形が愛するのは自分ではないのです。見返りは求めないと書きましたが、それでももし意思を持つなら自分を好いて欲しい愛して欲しいと思うのは自然な成り行きだろうと思います。しかし彼女の愛は遠く向こうの自分の預かり知らぬところを向いてよちよち歩きを始めるのです。あああ。そして本筋とは全然関係ないのですが、板尾創路演じる男が、ダッチワイフとの行為の後に風呂場で女性器を模したホールを手洗いしているシーンが無茶苦茶こころにキます。

 物語の顛末はまた想像を遥かに超えたところへ高く飛んでゆくので興味のある方はご覧頂きたいのですが、見終わって一つ納得したこと、これ是枝監督の作品なんですね、道理で道理で。大学生時代に「distance」の上映と共に、幸運にも監督のトークショーを聞かせて頂いたことがあり、その頃から人の心に拭い去れない掻き傷を付ける映画を撮る人だと思っていたら、十年後にまた新しい傷を付けられました。人間として扱ってきた人形が人間になったときに人間は何を要求するのか、無私の愛って何なのか。いや、無私ではないのだな結局は。

 無生物を無生物と分かりつつ生物的な環境に置いて生物的なポーズを取らせることで生じる得も言われるギャップ、そしてその美しさ。わたしはそれに心惹かれているのだと思います。
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